2020/08/27更新
私が始めた、このジャパンエナジーフードという事業は、世の中がこうであってほしいという願いの体現に向けたごく小さな一歩です。
「こう」というのは、こういうことです。
誰しもが安全で安心できる美味しい食につくことができ、差別を受けることなく認められ、幸せに生きていけるような、そういう世の中です。
環境問題に興味があった私は、高校時代に大学の環境サークル連合などに足を運びながら環境問題について学び、生徒会活動を中心に取り組みをしていました。大学は敢えて環境学部ではない体育スポーツの分野から環境問題を捉えようという試みを行いました。そこで出会ったものが民俗学をベースにした環境社会学からのアプローチでした。
私が環境問題について考えるようになってからずっと感じていた「違和感」があり、それは、「何が正しいのかわからない」ということです。
地球温暖化や気候変動などが最たるものですが、Think Globally, Act Locally(地球規模で考え、地域で行動する)で考えようとすると、結局、目に見えないものを相手にしなければならず、果たして自分の見えている数字やデータ、やっている行動が正しいのかどうなのかがわからなくなるのです。
その違和感を顕在化させて、新たな導きを与えてくれたのが、元滋賀県知事で琵琶湖の浄化に尽力した、環境社会学者でもある嘉田由紀子先生の提唱する「Think Locally, Act Locally」という考え方でした。目の前に見える物事問題を考え、それをその場所で解決するための実践を行なっていくという考え方です。
私は大学院でその考えが身体に染み込んでいくにつれ、食や農という分野への興味が強くなり、それこそが人間の根本的な環境問題の原点であると考えるようになりました。
食や農という営みは本来、資本主義経済とはある程度切り離すべき事柄であるべきと考えていました。市場経済において優秀であったり、商品としての価値の高い食べ物というものが、人の健康や将来において有益なものであるとは限らず、むしろ、そうでないことの方が多いからです。少なくとも、これまではそうでした。みんなが買える安い食べ物が、必ずしもみんなの身体にとって良い食べ物ではない、ということです。
しかし現代においては、ダイベストメントなどをはじめ、資本主義の中でも、私たちにとって望ましい、幸せな在り方を目指した世界に向けて、私たちが選択できるような世の中になりつつあります。
私はその世界の流れに希望を持って、食の在り方を見直して、日本の食文化を再提案したいと思いました。そしてそれは日本のみならず、世界に対して発信していくことで、より健康で、未来・次世代に向けた食のバトンをつなげていくことを目指して、起業しました。
それは、Think Locally, Act Locally and share Globallyという、新たな時代の潮流を作り出したいという願いを込めています。